越してきた草壁家がみんなで家を掃除したり荷下ろしをしていると、カンタが桶をもってやってきます。
「ん!」「母ちゃんが、ばあちゃんに」と、なんともぶっきらぼうな態度でさつきに桶を押し付けていきます。
そして距離をおいた場所まで行くと、「やーいお前ん家、おっバケやーしきー!」とさつきをからかいます。
すぐさまおばあちゃんに「カンター!」と怒られるのですが、なんだかほっこりしてしまう一場面です。
小学生の男の子らしいカンタの行動や、気になるその桶の中身について深堀していきます。
カンタがさつきの家に持ってきたものはおはぎだった!
カンタは何も説明せずに行ってしまいましたが、桶の中身はおばあちゃん家からの差し入れの「おはぎ」でした。
さつきが「男の子はキライ!でも、おばあちゃん家のおはぎはとーってもスキ!」と言っているところからも間違いありません。
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しかも色合いからみて味は3種類あるようで、定番あんこときな粉、あと緑色のものは、おそらくずんだであると思われます。
所沢という土地柄、抹茶味も想像できたのですが、地元の老舗和菓子屋さんを調べると三色おはぎで緑のものはずんだだったのでその可能性が高いです。
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余談ですが、「おはぎ」と同じもので「ぼたもち」もあります。
これらは、食べる時期やあんこともち米の潰し具合に違いがあるとされています。
言い伝えによると、「ぼたもち」の餡子はこしあんでもち米は餅状まで潰したものを使っていて、牡丹の花が咲く春のお彼岸に食べます。
一方「おはぎ」の餡子は粒あんでもち米も粒感を残したものが使われ、萩の花が咲く秋のお彼岸に食べます。
これが一般的な言い伝えとなっていますが、地域によっても違った伝統があるようで一概に全てが同じだとはいえません。
これを踏まえて、カンタが持ってきたおばあちゃん家のおはぎがどんなものだったかを考えてみました。
さつきが食べたときの餅の伸び方と実際の所沢のおはぎもヒントにすると、「餅状」まで潰した餅米を「粒あん」で包んだおはぎだったと思われます。
カンタが持ってきたおはぎはその後どうなった?
カンタが持ってきてくれたおはぎは、その後みんなで縁側に座って食べていました。
みんなとは、草壁家のお父さん、メイ、さつきと、引っ越しを手伝ったり車を運転していた男の人の4人です。
おばあちゃんも一緒に縁側にはいましたが、みんなへの差し入れなので手をつけてはいませんね。
「男の子はキライ!でも、おばあちゃん家のおはぎはとーってもスキ!」これは、カンタのからかいにプンプンしつつも、おはぎの美味しさにさつきがもらした感想でした。
そんな美味しいおはぎを、おばあちゃんがここに差し入れた理由は3つあると思われます。
一つは、引っ越してきたのがお彼岸だったので、家で食べる分と共にお裾分けとして用意していたから。
一つは、小豆には昔から邪気払いや魔除といった意味があるので引越しの縁起物だから。
一つは、昔は砂糖が高級品だったことからごちそうの意味と糖分で労をねぎらうために。
昔は、縁起を担いだり良いものやごちそうは分け合うという風習が根付いていました。
今では希薄になってそのような光景もなくなってしまいましたが、古き良き人との交流がここには描かれているようです。
カンタはなぜ「お化け屋敷」とさつきをからかったの?
さつきはプンプンしてしまいましたが、カンタがからかったのはズバリさつきへの一目惚れですね。
恋心とまで言えるものかは別として、さつきを可愛い子だなぁと思ったのは間違いありません。
その感情が、さつきをからかった短い言葉の中にぎゅっと詰まっています。
これは男の子なら誰しもが通る道で、小学生の頃は可愛いな好きだなと思った女の子には意地悪をするというのが王道です。
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たぶんそういうことをしないと、誰かに自分の気持ちを気付かれても恥ずかしいという照れ隠しがあるのでしょうね。
それにまだこのくらいの年頃では、そんな自分自身をどうしていいかも分からないでしょうからね。
お父さんタツオも「覚えがあるなあ」と言っているところをみると、例に漏れず、好きな子をからかったりしたのかなと想像できます。
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トトロの手作りおはぎも可愛い!
ひょんなところで結びついたトトロとおはぎということで、トトロをモチーフにしたおはぎを手作りされる方が多いようです。
またそれが特徴を捉えてよく似ていてとても可愛いんです。最近はキャラ弁も流行っていて、そのクオリティの高さにびっくりするのですが、トトロおはぎもそうなんです。
あんこでまっくろくろすけを、きな粉やゴマでトトロを作っていて、チョコや小豆などでうまいこと目や模様を作っているんですね。
盛り付けなんかも、オカリナを吹くトトロを思わせるような工夫がされているのもあって、トトロの世界観も伝わってきます。
https://gramho.com/explore-hashtag/%E3%83%88%E3%83%88%E3%83%AD%E3%81%8A%E3%81%AF%E3%81%8E
まとめ
この草壁家の引っ越しの模様や差し入れのおはぎの場面などには、昔懐かしい光景が細かくふんだんに組み込まれています。
例えば、現代では引っ越しは業者の方たちにお願いするのがほとんどで、お金をお支払いしてきっちりプロのお仕事をしていただきます。
またご近所への引越し挨拶も、マンションなどでは逆にしない方がいい場合もあるなど、特に都心部などでは割り切った付き合いが多くなりました。
でもほんの4~50年前までは、このトトロの場面のように周りの人が引越しの手伝いをしてくれたり、簡単に食べられるおにぎりやおはぎを差し入れてくれたりしたものです。
そしてこちら側も、お礼にお茶を出し一緒に会話を楽しんで交流を深めていたのです。
まさに忘れていた昔の日本の風習や風情を、草壁家の引越しというほんの短い場面の中で再現しています。
また忘れていたと言えば、小学生の頃の子どもらしい淡い気持ちなんかも凝縮されています。
そう考えると、きっとトトロを観ることは、ある意味そんな懐かしい時代へのタイムマシーンに乗ったともいえるような気がします。
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