魔女の宅急便で、キキの成長に大きく関わる人物たちの中の一人がウルスラです。
そして、そのウルスラと引き合わせてくれるキッカケを作ったのは、カラスたちの存在です。
巣を守ろうとしたカラスに攻撃されたキキは、お届け物の猫のぬいぐるみを森に落とし探し回ることに。
それで偶然たどり着いたのが、ウルスラのアトリエというわけです。
カラスが攻撃してくれなかったらウルスラとは出会えなかったですから、後にして思えば感謝ですよね。
でも、キキには攻撃してきたカラスたちですが、ウルスラの前では大人しくしています。
一体どういうことなのか、カラス自体のことからウルスラとの関わりまで含めて探っていきます。
魔女宅に出てくるカラスは実在する!
日本にいるカラスは真っ黒なので架空の鳥かと思っていましたが、キキを攻撃するカラスは、実在するものを元に描かれているようなのです。
白い色合いや鳴き声が特徴的なこのカラス、モデルではないかと言われている鳥は3種います。
その一つは「ニシコクマルガラス」です。
鳴き声は映画のカラスと似て独特で、ケキョッケキョッと鳴くようです。
特徴の白い部分が、魔女宅のカラスより少しグレーがかっているタイプが多いようですが、全体のサイズ感が小さめなところは似ています。
有力な候補の一つです。
もう一つ有力な候補として挙がっているのは、「カササギフエガラス」通称マグパイと呼ばれる鳥です。
鳴き声が笛みたいに綺麗なことからこの名前がついたようで、特有な鳴き声という点は重なります。
白い部分もよく似ていますが、こちらの方が後ろ頭から背中にかけてと範囲が広いタイプが多く見受けられます。
ただ、有力と言われる理由はその習性にあります。
この鳥は、巣やヒナを守るためにとても攻撃的になり人間にでも平気でアタックするのですが、まさにキキが攻撃されたところを彷彿とさせます。
そして、もう1種紹介しておきたいのが「ムナジロガラス」です。
このカラスは、その名前の通り胸の部分が白く、エプロンを首にかけているような形なのが特徴です。
それはまさに魔女宅のカラスの風ぼうと似ていて、ここからヒントを得たのかもしれないとも想像できます。
これら3種、初めて聞く鳥の名前ばかりですが魔女宅のカラスと被る部分は多く、モデルとなった可能性が高いカラスたちです。
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魔女宅のカラスを真っ黒にしなかった理由は?
ジジの言った言葉の中に「カラス」と入ってなかったら、キキを襲う鳥がカラスだと認識することはなかったように思います。
にも関わらず、よく見かける黒色にしなかったのは、この魔女の宅急便の舞台となった街が日本ではないからだと思われます。
外国の街に日本のカラスが存在したら、それはもう外国ではなく日本ということになってしまいますものね。
全体のリアル感を出すために、外壁のキズや庭に咲く花にまでこだわって描いている魔女の宅急便です。
ちゃんと、その街にいるカラスをモデルにすることが大切だったのだと思います。
この魔女宅の街は「スウェーデン」や「オーストラリア」が舞台になったと言われています。
生息地がヨーロッパのニシコクマルガラスや、オーストラリア生息のカササギフエガラスは、モデルとなった鳥として濃厚となってきます。
ウルスラとカラスの関係は?
キキがウルスラと出会うきっかけとなったカラスたちは、キキをすっかり敵だと思ってしまっています。
一方ウルスラに対しては、攻撃することもなく、大人しく絵のモデルになっています。
それどころか、アトリエの家の屋根に遊びに来るまでになりました。
ウルスラ自身「すっかり仲良くなって」と言うように、カラスたちがウルスラには気を許しているのは間違いありません。
カラスは賢い鳥です。
「いい子ね。動かないでね〜。」「ステキよ〜。」「あんた美人だね。」と話すウルスラの言葉を理解しているのかもしれません。
たとえちゃんとした内容まで分からないとしても、気持ちは通じたのは間違いないです。
だからこそ警戒心を解き、気を許して再びアトリエに訪れるような関係にまでなりました。
キキは魔女ですから、ジジが言っていたようにカラスを召使いとして従わす立場でした。
でもそんな力で抑え込むやり方では、言うことを聞かなくなってしまっていました。
ウルスラのように、コミュニケーションを取って仲間として接するということの大切さを、キキはここで学んだという訳です。
後に、キキもカラスたちに「この間はごめんなさい。」としっかり伝えていましたから、ウルスラのように仲良くなっていったかもしれませんね。
まとめ
カラスが出てくるシーンはほんの少しですが、そこには多くの意味が含まれていたのです。
まず、日本ではなく舞台となった土地に実在するカラスにしたことで、現実味と異国感が出ました。
また鳥の種類をカラスにすることで、魔女とカラスに例えられる主従関係も表現しています。
そして、それに相対するようなウルスラとカラスの関わり合いを描くことで、人との関わり方として大切なことが伝えられています。
それともう一つ、しょうがないという言葉で諦めていたキキが、自分が変わることでカラスとの関係を改善しようと行動していきます。
これは、自分が変わっていくことの大切さを表しています。
たわいもないシーンなのに、意味深いシーンとなっているのです。
そんな露骨でない伝え方が奥深いから、ジブリ映画は各シーンを見返して深読みしたくなるのかもしれません。
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