世の中、思い通りにいかないことなんてないと思っているような、ちょっと世間をなめているところのある子どもの「坊」。
とにかくわがまま放題で、少しでも気に入らないことがあると、泣き叫びます。
しかも、泣くと物を壊してしまう能力をもっているので、湯婆婆がすっ飛んできて、欲しい物を与えてくれるというシステムです。
それは、坊にとって最強のシステムで、我慢をしなくていいわけですから、部屋はおもちゃやぬいぐるみなどで溢れています。
いったいどんな部屋になっているのか、紹介していきます。
坊の部屋の画像がこちら!
「坊」の部屋は、「天」と呼ばれる油屋の最上階にあり、湯婆婆も同じ階に住んでいて、ここで油屋を切り盛りしています。
最上階ということで、「坊」の部屋はさぞかし眺めがいいかと思いきや、窓がなく、周りの壁には、景色のような絵が一面に描かれています。
「外はばい菌があって怖いところ」と教育している湯婆婆ですから、外は見せないというわけですね。
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その代わり天井は高く、広々とした感じで、床は皮のソファーのような、「坊」が転んでもケガをしないような造りとなっているようです。
あちこちに散乱しているおもちゃも、ぬいぐるみやクッションなど、やわらかい作りのものが多いように感じます。
でも、中には、未だ未開封のプレゼントもあるようで、どれだけ多くのプレゼントをしているのかが見て取れます。
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そんなクッションやぬいぐるみには、実は隠れキャラが潜んでいて、「アルプスの少女ハイジ」の白ヤギのゆきちゃんや、「魔女の宅急便」の黒猫ジジが使われています。
探してみるのも、別な見方として楽しめそうです。
坊の部屋の天井の仕掛けがすごい!
隠れキャラもいる「坊」の部屋ですが、丸い天井の部分にも秘密があります。
それは、宮崎駿監督が手がけた「ルパン カリオストロの城」で、クラリスが幽閉された塔の部屋の天井と似ているのです。
しかもその塔の天井にも、太陽と月の絵が描かれていたのですが、「坊」の部屋の天井にも、それはしっかり描かれています。
この辺は、宮崎駿監督の遊び心かなと思うと、してやられた感があります。
また、それとは別で、「坊」の部屋の太陽と月の絵には仕掛けがあり、その太陽と月が入れ替わることで、部屋の明るさが変わるのです。
つまり、窓のない部屋で、外にも出ない「坊」にとって朝昼夜の変化は、これがその役割を果たしているというわけです。
ここまでならなるほどと納得できますが、驚きなのは、この昼夜の管理が湯婆婆の手で管理されているところにあります。
ここまでくると、湯婆婆の支配欲はすさまじいと思ってしまいますが、それはさておき天井の仕掛けはすごいですね。
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坊が自分の部屋から出ない理由は?
「おまえ病気うつしにきたんだな」と、千尋に真っ先に言った「坊」の言葉からわかるように、ここでも湯婆婆のすごい支配欲が発揮されています。
「坊」は、湯婆婆から「部屋の外は怖くて汚いばい菌のいるところで、触れると病気になってしまう」としつけられているため、外から来た千尋に、まずその言葉を投げかけているわけです。
つまり、湯婆婆は「坊」に出るなと禁止するのではなく、「出たら危ない」という言葉の牢屋で「坊」を閉じ込めているのです。
ですから、「坊」は自分の意思で部屋から出ないというよりは、出られないでいる、もしくは、出るという選択肢がないという方が正解かもしれませんね。
まとめ
それにしても、湯婆婆の過保護、管理っぷりはすさまじいものがありますね。息子に対する愛は、溺愛もしくはそれ以上のレベルのものを感じます。
部屋は広く不自由がないものですし、欲しいというものは、際限なく与えていたところに、歪んだ愛情表現が滲み出ています。
決して意地悪したい訳ではなく、むしろ閉じ込めてでも、どこにも行ってほしくなかったという気持ちのようです。
とはいえ、子どもがそんな育ち方をしたら、自分は最強で、色々与えられて当たり前というような、ひねくれた性格になりそうなものです。
でも、「坊」は意外と素直なところも持ち合わせていて、憎めない性格をしています。
きっと、そんな母親の曲がった愛し方でも、「坊」にはしっかり伝わっているのかなと感じました。
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