耳をすませばで欠かせない人物の一人といえば、優しくてほっこりさせてくれる天沢聖司くんのおじいちゃん、西司郎です。
おんとし80歳ですが、アトリエ地球屋を経営したり、ヴィラ・ダ・ガンバという楽器を演奏する趣味があったりとエネルギッシュですよね。
また、雫や聖司にパパッとうどんやラーメンを作ってくれたりするところをみると、料理も得意なようです。
そんな多趣味で多彩なおじいさんですが、雫や聖司の夢を一番に応援し、本人たちの気持ちをしっかり理解してくれる素敵な人でもあります。
二人のこれからの人生のためにと伝えられる深いアドバイスは、自身の経験や経歴があるからこそ言えることのようです。
そこで、おじいさんの昔若きし頃などを振り返りつつ人生観を紐解いていきます。
おじいさんの声優・小林桂樹とは
おじいさん西司郎の年輪を感じる、重みがありつつも優しさがグッと伝わるような声を担当されたのは、俳優の小林桂樹さんです。
戦後日本の映画やテレビ界を代表する名優で、2010年に87歳で旅立たれるまで多くのドラマや映画に出演し活躍されていました。
あくまで控えめで自然な演技を志していたという小林桂樹さんは、どこにでも居そうな庶民のひとりを演じ続け、数多くの賞を受賞されています。
ご本人のもともとの生真面目で誠実な人柄からか戦時中は軍人役が、戦後はサラリーマン役が当たり役となったようです。
また、庶民のひとりを演じるという点では実在の人物になりきる演技は天下一品で、山下清から西郷隆盛までと幅広く演技力豊かだったといいます。
個人的にも、自分家のおじいちゃんというような感覚があって、身近に感じていたのを覚えています。
温かみがありお茶目で、でも一本筋の通った芯の強さも感じるような演技をされる小林桂樹さん。
きっとご本人も、それに近い人柄であったのではと想像できます。
そんな部分が西司郎からも伝わりますし、一つ一つの言葉にも厚みがあると感じます。
おじいさんの素敵なセリフを紹介!
そんな、小林桂樹さんが声を担当したおじいさんが発する、優しくも芯のある素敵なセリフが2つあります。
一つは、雫が小説を書くことに挑戦するにあたって、初めてでうまく書けないかもしれないと後ろ向きな気持ちを打ち明けたときのセリフです。
「はじめから完璧なんか期待してはいけない。」
これは、雫のおじけづきそうな心を、後ろからポンっと押してあげた力強い言葉でした。
できないかもしれない、下手かもしれないと後退りする気持ちが新たな挑戦の足止めをして保守的になってしまうものです。
完璧を目指しすぎて何もしないうちから心配するのではなく、まずは一歩踏み出すことの大切さを伝えていますね。
もう一つは、この後押しをする言葉に続けて話す場面でのセリフです。
「自分の中に原石を見つけて、時間をかけて磨いていくことなんだよ。手間のかかる仕事だ」
これは、「物語を書くこと」「文を生み出すこと」という技術というのはどういうものかを説いて、それに取り組む覚悟を持たせる言葉でした。
この技術とは、たくさんの勉強、努力、知識によって磨かれていくもので、小手先でできるようなものではないという現実を教えてくれています。
そして、そのようなことに取り組むということは、忍耐強くやり抜く覚悟を持つ必要があると伝えているのです。
つまり、この2つのセリフは、失敗を恐れず挑戦することの大切さと、技術を磨くためには覚悟を持って学習し努力し続ける必要性を教えたのです。
若者の挑戦を応援する優しさと、技術者・職人の先輩として大切なことを伝える芯のある厳しさが見える素敵なセリフでした。
これらの言葉は、夢を叶えようと頑張る人みんなにも伝えたいものですね。
おじいさんのこれまでの経歴は
話す言葉の深さから、おじいさんにはたくさんの経験があるのだろうと伺えますよね。
実際のところどんな経歴をもった人なのか、作中に散りばめられたヒントを集めて検討してみました。
現在、アトリエ地球屋の店主であることは確実ですが、そこでは、おそらく時計の修理やヴァイオリン作りをしたりしているようです。
これは、「時計は修理で預かっていたもの」という聖司のセリフや、聖司も使っているヴァイオリン作りのスペース、「私たち職人」というおじいさんの言葉に裏付けされます。
そして、ルイーゼと出会ったドイツへは留学で来ていたことも加味すると、それは聖司と同じようにヴァイオリン作りの勉強のためだったと思われます。
https://ameblo.jp/kikikociko/entry-11367794932.html
つまり、ヴァイオリン作りの職人になるべく留学をしに行ったドイツでルイーゼと出逢い、そこでバロンにも巡り合います。
おじいさんはバロンを持ち日本へ、ルイーゼはバロンの彼女の方の人形を持ちドイツに留まり、二人は離れ離れになります。
その後戦争を経験し、終戦となるとすぐにルイーゼとの再会を信じドイツへ行きますが、それは叶いませんでした。
そしてルイーゼを心に残して、おじいさんは別な人と家庭を持ちます。
今では、聖司という素敵な孫までもうけることができていますね。
とはいえ奥様の存在は出てきませんので、亡くなられたか別れられたと思われます。
地球屋は、ルイーゼが立ち寄れる場所としておじいさんが作ったと思われ、バロンとともに今でも再会のその日を待ちわびています。
仕事では夢を叶えヴァイオリン作りの職人となり、腕をふるいそれで生計を立ててきたようです。
今ではその技術を人に教えたりしつつ、時計の修理も請け負っています。
と、これが、おじいさんの経験であり経歴です。
叶ったことと叶わなかったこと、秘めた想いと貫いた信念。
おじいさんの深い人生がありました。
まとめ
さすが、80年という長い時間を生き抜いているおじいさんです。
経験も言葉も、分厚い年輪を感じさせます。
また、たくさんの出逢いと別れ、想いや信念が積み重なっていることが、小林桂樹さん演じる声からも伝わってくるようですね。
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おじいさんは職人さんですから、一つのことをやり抜き貫き通すという心の強さも持っている素晴らしい経験者さんです。
これから夢を追い努力し始めようとしている雫や聖司にとって、良き理解者であり先生となることは間違いないでしょう。
そうやって、おじいさんの経験してきたことや行ってきたことは、雫や聖司に引き継がれていくのですね。
そういう観点からすると、おじいさんが残したルイーゼへの後悔は、雫と聖司の二人で後悔のない結末へと変えていくのではと思えてきます。
人生の輪廻というのか、行いの輪廻みたいなことが、おじいさんの人生観を通して見えてきたようです。
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