真壁ファミリーが越してきた家は、サツキの同級生カンタのおばあちゃんが管理しています。
そんな関係もあっておばあちゃんは、何かと真壁家を気にかけてくれ、引っ越しの手伝いはもとよりサツキやメイを本当の孫のように可愛がってくれたりします。
今でこそ田舎であっても近隣との付き合いは薄くなってしまったかもしれませんが、その昔は親戚兄弟や身内のような付き合いをしていたものです。
そんな日本の風景が蘇るのも、おばあちゃんのモンペにほおっかむり姿と訛りからではないでしょうか。
今回はそんな、どこか懐かしくて温かみを感じる、おばあちゃんの方言に注目しました。
トトロのおばあちゃんの方言のモデルの地域はあるの?
おばあちゃんの方言って、トトロの舞台となった所沢の松郷地区のものかと思ってしまうのですが実は違うみたいなんですよ。
この地域の訛りは「そんだんべえ」「そうすんべえ」と「べえ」が特徴だといいます。
おばあちゃんの訛りも、どこか似ているように感じますがそうではないようなんです。
http://shusan0630.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-ea4a.html
そういえば以前にトトロを見ていて、自分の田舎の方言にも近いものを感じたことをふと思い出しました。
所沢とは全く違う場所なのにそう感じたことは何か関係があるのかと調べてみると、重要なポイントが隠されていました。
その訛りは、トトロに出てくる光景や景色を、自分の事のように感じてもらうための宮崎駿監督が構成した演出のひとつだということです。
http://s123456789129.naganoblog.jp/c25091.html
つまり、訛りの地域を特定させないことで、自分が知る地域や町の方言っぽいと思ってもらうことがポイントだったのです。
ですからそれぞれを聞いてみると、北の地域の言葉っぽくもあったり、南は九州っぽく感じる言葉もあるわけです。
でもそのおかげで、ここに出てくるおばあちゃんと自分のおばあちゃんを重ねて、誰しもが懐かしいと感じることができるのです。
それは、背景の木々についても同じようで、北から南の様々な木が描かれていることで、自分が知っている田舎と重なってしまうのです。
まさに、キラリと光る細かい技で、ジブリの世界に引き込まれているのです。
おばあちゃんのトトロでの方言がわかるセリフを紹介!
特定の地域のものではないとわかっても、カンタのおばあちゃんの訛りは昔に聞いたことがあるような、田舎のおばあちゃんらしい話し方です。
例えば、「えら、えらいよな〜(とっても偉いね)」とか、「どこさ行っちゃったもんだか(どこに行ったのか)」。
「そったら恐ろしげなもんじゃねぇよ(そんなに恐ろしいものではないよ)」「よーく漕ぎな、水がちべたくなるまで(しっかり漕ぎな、水が冷たくなるまで)」などなど。
文字にしていても、おばあちゃんのあの声が聞こえてくるような、そんなセリフばかりです。
それが自分の田舎の言葉に聞こえてしまうその仕組みというのは、先ほどの通りジブリの細かい技でした。
ですが、あの独特なイントネーションがまた、それぞれのセリフに温かみを加えて、自分のイメージしている「おばあちゃんっぽさ」に拍車をかけているようです。
おばあちゃんの声優は誰?
そんな温かいおばあちゃんの声を演じた声優さんは、北林谷栄さんです。
2010年に98歳でその生涯を終えるまで、女優業や声優業にと活躍されていました。
女優としては若い頃から老け役が多く、「日本一のおばあちゃん女優」として農村にいる様々なタイプのおばあちゃんを演じていました。
https://matome.naver.jp/odai/2146795620013921101/2146795761415865803
また声優としては、ディズニーの白雪姫の女王やシンデレラの継母、海外吹き替えではベティ・ディヴィウスやヘレン・ヘイズの担当声優など、これらを代表に、1930年代から数多くの作品に出演されています。
そしてその活躍は各方面で賞賛され、紫綬褒章や日本アカデミー賞最優秀主演女優賞など多くの賞も受賞されています。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG06035_W0A500C1000000/
そんな北林さんだからこそ、宮崎駿監督が出したかった「各々がイメージする田舎の優しいおばあちゃん」を、このトトロの世界観の中でも演じることができたのでしょう。
以前、北林さんが出演された映像を観たことがありましたが、自分のおばあちゃんに似ているように感じて、個人的にも大好きなおばあちゃん女優さんです。
まとめ
トトロに出てくるおばあちゃんといえば、真っ先に浮かぶのは迷子になったメイを探すシーンの「メイちゃーん」という声でしょうか。
ちょっと訛っていて、しかもおばあちゃんの年輪と温かみを感じる話口は、自分が抱くおばあちゃんイメージと誰しもが重ね合わせていたことでしょう。
かく言う私自身もそうで、自分のおばあちゃんと重なって子どもの頃のことをよく思い出したものです。
そしてそんな風に感じれたのは、宮崎駿監督が演出した特定しない技術と、北林谷栄さんのおばあちゃん技術の賜だったというわけです。
トトロ全体がどこか懐かしく感じて温かい気持ちになれるのは、こういった細かい配慮があってのことなんだと実感しました。
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